JAにいろんな問題があって、改善が必要だよねって考え方には概ね賛成なのですが、大きな問題が見落とされながらの議論には反対です。
JAの業務
大きく別けて「金融」と「現場」があります。
「金融」は一般の方も含めた銀行っぽい業務と保険。農家の方にはトラクターなどのローン購入向けの貸付。農機具ローンの貸し付けは一般の銀行には評価が難しいJA独自のノウハウをお持ちです。ただ、こっちは解体しても、銀行が引き継げると思います。世論ではこちらの問題と、いわゆる”ピンハネ”や”買い叩き”が問題視されてます。
「現場」は主に肥料や農薬の「卸業」と、農家が独自に出来ない作業の下請けがあります。「卸業」は代わりにやってくれる大手はあるけど、「農家が独自に出来ない作業の下請け」は現時点では全く語られてないし、代替えできる団体があるとは思えません😢
「農家が独自に出来ない作業の下請け」とは
二つあります。
- 個別の農家では財政的に無理な大きな投資が必要な設備
- 個別の農家では困難な超短期的な人材確保orそれを請け負う仕組み
もうちょっと細かく
1.の代表的なモノは、収穫後乾燥させるためのが「カントリーエレベーター」です。

カントリーエレベーター、こんなのは個人農家が所有するのは無理です…
カントリーエレベーターとは、複数の農家が共同で利用する、穀物(主に米)の乾燥、調製、貯蔵、出荷までを一貫して行う大規模な施設です。これはライスセンターよりも貯蔵機能が加わった大型の施設であり、収穫された穀物の品質管理と効率的な流通に貢献します。
2.の代表的なコトは、「稲の苗を育てる数日必要な人海戦術」要員の調達です。
田植え機に積み込むパレットに、土を入れ種を蒔き水をやる…これを繰り返して、田んぼの一部に広げて並べて1カ月ぐらい育てます。昔は家族総出でやっていたらしいのですが、今は子供や孫が都会に出ちゃって籾(コメの種)巻きが困難になっちゃって、多くの農家はJAから出来上がったパレット(苗)を購入してます。

田植え機に積む苗はこんな感じ
江戸時代親戚一同子供まで参加していた農作業は、明治以降機械化が大きく進みましたが、機械化が困難な作業工程が、稲作には何行程かあります。
「機械化が困難な作業」の詳細
お米を育て収穫までの、主要な工程
- 田起こし①
春、耕す→耕運機の普及で牛も不要、お父さん一人の運転で解消 - 田起こし②
肥料巻き→お父さんお母さんで、「はなさかじいさん」の様に人力で撒く - 育苗
※稲の苗を育てる→機械化困難(一番上の写真) - 田植え
苗を田植え機に積んで(ここは結構大変)、お父さんが一人で田植え機を運転 - 育成中
あぜ道の草を刈って、田んぼの雑草取りや肥料を与える為の銅線を確保~日々コツコツご夫婦で - 収獲・脱穀
両方機械化が進んでるけど、最低二台(二人の運転手)が必要で、近所で協力※1 - 乾燥
JAのカントリーエレベーターのお願いする(下請けに出す感じ) - 出荷
米不足で安易にここだけがJAの問題点と語られがちです…
※1 作付けはほぼ同時期で各農家ごとだけど、育成には少し差が出るので、近隣で協力が可能
稲作農業を変えなきゃいけない点
直播で美味しい米を作る(研究機関に期待)
田植え機で使う苗のパレット、それを作る過程が一番人手が必要で、しかも超短期間だからプロだけでは無理って状況を改善するには、アメリカの様に飛行機やドローンで、軽い種(米粒)を蒔いて育てるしかないのだけど、日本の品種はそれが困難(発芽率が低く、土地が均等に使えず≒均一に育たない)。これを研究機関に頑張ってもらって品種改良をして欲しい。
寒さに強い稲・麦の開発(研究機関に期待)
温暖化してて、夏暑すぎてんのに何言ってるんじゃ?と思われちゃうけど、日本のほとんどの地域で(関西以北)冬は寒いんです。だから九州でしか春秋は米、秋春は麦の様な二毛作が出来てないんです。熱帯地方で良く育つコメの品種は、多くの日本人が苦手な味😅寒くても育つお米や麦への品種改良は効率的に農家さんの収入増えるし(東北地方の冬の出稼ぎをイメージしてください)、頭のいい研究者の方にはご検討いただきたいですm(__)m
おまけ
お米の価格が高い高いと嘆いてるけど、精米していない玄米はあまり高くなってないです。家で精米すると1割くらい糠の分減っちゃうけど、それを考慮しても安いです♪&めちゃ美味しい🤤
(精米後は極端に消費期限が短くなるから吐きも多くなり、当然玄米の方が売り手はリスクが少ない)
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